日本全国の空き家は毎年増え続け、2023年現在では900万戸(国内の住宅総数に占める空き家の割合は13.8%)となっており、社会問題となっています。その一因でもある「都心×築浅×マンション」への流通集中に対し、カチタスが主に扱っているのは「地方×築古×一戸建ての住宅」。空き家となっている家を含んだ中古住宅に価値を見出すことで、いつまでも人の賑わいが途切れない、持続可能な社会の実現を目指しています。
カチタスは、仕入れた物件のリフォームを地域の協力会社(パートナー工務店)に依頼しています。都会に比べて地方は、公共工事や新築工事、大型ビルやマンションの建設が少なく工務店の仕事が減少しているため、カチタスが住宅のリフォームという仕事を創出しています。 また、学生が地元地域のために働きたいと希望したとしても、条件面で地元地域から離れて働かざるをえないことも多々あります。カチタスは地方に根差した採用活動で地元地域のために働きたい学生を採用し、雇用の創出と働きがいを提供しています。
新築住宅の開発・建築に比べて当社ビジネスモデルのCo2排出量は約1/4(新築が283kg-co2/㎡に対して中古は76kg-co2/㎡ )であり、木材使用料は約1/7(新築が21㎥に対して中古は3㎥)。 世界の森林面積は減少し、Co2の排出で地球温暖化が進む中で、地球環境にやさしい事業を行っています。
2024年4月1日時点で全社員の内、女性社員の比率は39.9%、また女性管理職比率は18.2%です。新卒入社100名の内、女性社員は50名(50.0%)と高い割合です。また、2024年3月期のTOP20位の内、女性社員が10名(50.0%)と多くの女性社員が活躍しています。
当社は、社会に対しても「価値を足す」ことを目指し、リフォーム資材および住宅設備の調達において環境負荷および社会課題への配慮が必要であるとの認識のもと、以下の事項を調達基本方針として定めております。本方針をお取引先様に対しても周知することで本方針に基づく調達を推進してまいります。
1. 法令と社会規範の遵守
・各種関連法令および社会規範の遵守
2. 環境負荷の低減
・省資源の推進および環境・社会課題に配慮した外部認証材(FSC 認証木材等)の積極採用、グリーン調達の推進
・生物多様性の保全への配慮
3. 人権尊重
・当社および取引先の社員を尊重し、差別・各種ハラスメント等の非人道的な扱い、不公正な処遇は行わない
・児童労働、強制労働の禁止
4. 公正取引
・独占禁止法違反や下請け法違反、優先的地位の濫用等の、公正な競争原理を阻害する法令違反行為、またはそれらの疑いのある行為等の禁止
・不当な利益や優遇措置の取得・維持を目的とする接待、贈答、金銭などの授受・供与の禁止
【引き渡し後の補修対応】
当社グループが販売した住宅の引き渡し後に、当社グループに責任がある不具合(契約不適合を含む)が発生した場合は、当社グループの負担で補修工事を行っております。またお客様満足度の向上と顧客保護を目的として、法的責任のない不具合についても当社グループで補修することが相当と判断された場合は補修工事を行っております。引き渡し後の補修費用をリフォームの品質指標として、苦情・不具合の明細と併せて週次で経営陣で確認しております。各年度の補修費用と売上高に占める比率は以下の通りです。なお、営業現場から適切な報告と適正な補修対応が行われることを担保するため、補修費用が売上高に占める比率は現状と同等程度あるいは緩やかに低下することが望ましいと考えております。
【営業活動の品質調査】
当社では、顧客保護を目的に、ご契約いただいたお客様へ営業社員とは別の本部社員から電話ヒアリングを実施しております。これは、当社営業社員による営業活動が適法および適正に行われているか、契約書の内容とお客様の認識に齟齬がないかを確認しています。この電話ヒアリングは、日中の通話が難しいお客様がいらっしゃることから、通話率80%を目安に運営しております。お客様との通話率(お客様との通話数÷全契約数)の推移は以下の通りです。
【基本的な考え方】
当社では、不当景品類及び不当表示防止法、宅地建物取引業、不動産の表示に関する公正競争規約などの関連法規に基づき、責任ある広告、宣伝活動を実施しています。様々なステークホルダーを考慮し、誤解や不快感を起こさない適切で節度ある広告に努めるとともに、社会からの期待や要望を受け止め、適切に事業へ反映してまいります。
【適切な広告活動に向けた取組み】
当社では、マーケティング室を中心に、営業社員に対して、適切な広告・宣伝を行うよう周知・啓発を行っております。 主な取組みとして、WEBサイトの広告掲載における適切な情報発信と各種法令違反を防ぐために、WEB掲載マニュアルを運用しております。WEB掲載マニュアルは、営業社員がマニュアル通りに広告掲載することで、各種法令に遵守できるよう設計しており、違反を未然に防ぐ仕組みを構築しております。さらに物件の魅力を適切に伝えることができるように設計しております。合わせて、物件の魅力を伝えることのできる文章や写真の質を「カチタススタンダード」として定めています。
また、主に新卒社員に向けて「ネット道場」(勉強会)を開催しております。この勉強会では、「カチタススタンダード」を基に、WEBサイト上に掲載する際の、物件の魅力を伝えるための良いコメント・写真撮影の方法の具体例を共有し、また実際に広告掲載のWEB操作のデモンストレーションを行っております。
当社は、年100名を超える新卒社員を採用し各店舗に配属しており、「カチタススタンダード」の質を保つため、当勉強会の参加は必須としています。また、新入社員以外の営業社員や管理職も参加しており、これにより、WEB掲載ルールの把握と運用を全店舗に浸透させ、徹底を図っております。
その他にも、ステークホルダーの皆様に影響する可能性がある事象が発生した場合には、全社員が参加するTV朝会にて、即時情報の共有と対応方法を広報しております。【管理体制】
当社では、法令の遵守を徹底するため、マーケティング室、情報システム部を中心に、広告の管理体制を整えています。 特に、お客様が住宅を探す際にご覧になるWEBサイトの物件情報については、専任担当者が確認を行っています。確認の方法は、掲載中の物件情報を、法令遵守・写真・コメント内容の3つの項目で評価をしております。さらに、評価担当者は評価を行うだけではなく、修正案を提示し、その後の修正状況のフォロー確認まで行っております。全店舗が半年間で1回以上のこの確認を受ける運営を行っております。このような取組みを通じてお客様の誤解を招く情報を発信をしないよう管理をしています。
当社では、2023年度の広報宣伝における各種法令違反により行政処分に至った事例はありませんでした。
当社では適切な育成による生産性(社員1人あたりの売買件数)の向上が安定的な成長を実現するための重要な課題であると考えております。当社は新卒採用が採用活動の中心であり、新人社員の研修は、集合研修と店舗でのOJTを中心に進めております。また、全国に点在する店舗の営業手法・リフォーム品質を標準化するため全営業社員(契約社員・パートを含む)を対象として、定期的な全社研修を実施しております。研修の全体像は以下の通りです。
当社が社員の能力開発のために行った研修時間は以下の通りです。
【主な研修概要】
TV朝会
毎週木曜日の朝、全国の全拠点をオンラインでつなぎ、社長・部室長等から業績動向と法制度改正等に係る注意点等の共有を行っています。リフォーム品質向上にかかる取組みとして、直近で発生した不具合の事例に基づくリフォーム工事施工時の注意点とリフォーム好事例の共有を継続的に実施しております。社員の理解度確認のため、会議後にアンケートを実施し、必要に応じて再共有の実施や個別の疑問点への回答を行っております。
なお2024年3月期のTV朝会の実施回数は、全54回です。アンケート回答者は営業店舗に所属する全社員(契約社員・パート社員を含む)です。
選抜リフォーム強化研修
課長が推薦する店長候補を対象に、商品企画部の専任担当者(一級建築士)を講師として、リフォーム企画力向上のため少人数での研修を実施しています。座学研修及び当社物件での実地研修までの幅広い内容を少人数で行うことで、密度のあるスキルアップの場となっています。2024年3月期の実施回数は4回、受講者は22名です。
当社社員(契約社員・パート社員を含む)とパートナー工務店の社員の安全が、企業の持続的発展および生産性の向上において重要な課題と認識しております。当社のリフォームの現場は主に2階建ての戸建て住宅であり、また屋内のリフォーム工事が中心であるため、重大事故は発生しにくいと考えております。事故の発生状況等については以下の通りです。
当社では労働災害抑制に関する目標として、労働災害発生率(休業1日以上の労働災害発生数/従業員数)について、過去の発生率の平均を基準とし「0.6%以下」と設定しております。主たる当該労働災害は、交通事故です。交通事故の発生は、営業社員が自動車で物件間を移動するための移動距離が長いことが原因となっております。交通事故発生を抑制する具体的な取り組みとして、定期的に従業員の「運転記録証明書」を取得しており道路交通法違反件数を個人単位で把握し、その傾向を社内広報することで安全運転意識向上に努めております(当該取組みにより併せて免許停止・免許取り消し状態での運転の防止を図っています)。
※1 通勤災害は除く
※2 対象範囲: 全社員(契約社員・パート社員を含む)
パートナー工務店の2024年3月期の休業1日以上の労働災害発生件数は、16件です。これには、脚立からの落下や工具や釘などによる切り傷・刺し傷などの軽傷も含んでおります。また、パートナー工務店の協力会社による死亡事故が1件発生しました。リフォーム現場では、注意喚起のPOPを掲示するなど、パートナー工務店とともに安全な事業活動継続に向けて努めてまいります。
※3 質問項目:2022年3月期は「パートナー工務店における負傷事故発生件数」を調査
【水ストレス】
当社では、水ストレス・水リスクの認識にWRI(World Resources Institute)の評価ツールであるAqueductを用いております。当社の事業活動地である日本は、水に関するリスクが「Low-Medium」に該当すると認定されており、水ストレスが相対的に小さい地域であると認識しております。
【水回り設備(バス・トイレ・洗面台)の交換】
当社が取り扱う中古物件の大部分では、リフォーム時に水回り設備(バス・トイレ・洗面台)の交換を行っております。建築当時の水回り設備を節水効率の高い設備に交換することで環境負荷・お客様の水道代負担の軽減を実現しており、特に家庭全体での水利用量の20% (※4) を占めるトイレについては、従来品より50%の節水性能のあるトイレ等を積極的に採用しています。
※4 東京都水道局 令和3年度 一般家庭水使用目的別実態調査
当社では、2022年3月期から2024年3月期までについて、廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法等の環境関連法規制違反は発生しておらず、並びに、それに伴う罰金や過料などの支払いは発生しておりません。
当社では、中古住宅をリフォームして販売することで、中古住宅の再流通を実現しております。そのため、当社では、新たな用地開発等は行っておりません。当社ビジネスモデルでは、新規に住宅地を開発することがないため、ライフラインを新規に整備する必要がなく、地方都市のコンパクトシティ実現に寄与していると考えています。
カチタスは、地方の空き家となった住宅を、リフォームして、再生する事業により、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献していきます。
当社が取り組むSDGs | 貢献の内容 |
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1.貧困をなくそう | カチタスの住宅は平均販売価格は1,400万円であり、月々の住宅ローン支払い額は4万円台となっています。安心・清潔・実用的な住宅を提供によりSDGsの達成に貢献してまいります。 |
3.すべての人に 健康と福祉を |
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10.人や国の 不平等をなくそう |
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11.住み続けられる まちづくりを |
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6.安全な水と トイレを世界中に |
カチタスの住宅は、相続で空き家になった物件を中心にリフォームして販売しています。まだ使える住宅を再生して住みつなぐことで、スクラップ&ビルドではない新しい住まい方の提案によりSDGsの達成に貢献してまいります。 |
7.エネルギーを みんなに そしてクリーンに |
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12.つくる責任 つかう責任 |
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13.気候変動に 具体的な対策を |
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15.陸の豊かさも 守ろう |
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4.質の高い教育をみんなに | カチタスは、地元で生まれ育った学生を中心に新卒採用しています。地元に貢献したいという学生を、空き家問題の解決を通じて地域貢献できる喜びを提供することによりSDGsの達成に貢献してまいります。 またリフォーム協力会社と共に空き家を再生するというパートナーシップを組みながら空き家問題を解決することでSDGsの達成に貢献してまいります。 |
8.働きがいも 経済成長も |
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9.産業と技術革新の基盤をつくろう | |
17.パートナーシップで目標を達成しよう | |
5.ジェンダー平等を実現しよう | カチタスでは、家事の動線を意識したリフォームの企画や売主・買主に共感するコミュニケーション等がパフォーマンスにつながるため、多くの女性社員が活躍しています。 男女分け隔てのない活躍の場を提供することでSDGsの達成に貢献してまいります。 |