人的資本の質的・量的な向上等の「現場力」が備わり、新しい中期経営計画に向けて成長基盤の整備ができた1年となりました。
引き続きお客様のニーズに合わせた住宅を提供し、販売件数1万件に向け、邁進してまいります。
2025年3月期中は、原材料高騰や輸入物価上昇により相次いで商品・サービスが値上げされ、また、日銀による政策金利の引き上げがされる等、消費者の生活コストが上昇した1年となりました。そのような中、当社グループにおいては、生活コスト上昇に対応するために低価格帯の住宅を提供するなどの販売方針を継続し、お客様のニーズに合った住宅を提供してまいりました。
2025年3月期の当社グループの業績は、販売件数7,372件、売上高1,295億円、営業利益142億円となりました。販売件数は計画未達だったものの、1件当たりの利益を増やし、最重要指標である営業利益計画を2億円(前年比+12.2%増)超過達成いたしました。なお、この超過達成は、社員にも2年ぶりに決算特別賞与を支給し、還元した上での超過達成となりました。そして、日頃よりご支援いただいている株主の皆様には年間配当金56円の還元を決定いたしました。このように、2025年3月期は、総じて良い決算だったと評価しています。
第3次中期経営計画は、年間1万件の住宅を提供する会社になるための成長基盤の整備に取り組んでまいりました。最重要指標に掲げた調整後営業利益(消費税等差額を調整)は、計画した年平均成長率10%を下回ったものの、2025年3月期は上述の通り10%超の成長を達成いたしました。重点取組み施策では、新卒で入社した社員の昇進が進み、店長のうち6割超が新卒入社社員となりました。その結果、経営陣が提案する施策が浸透しやすい「打てば響く組織」に成長したと実感しています。また、生産性の向上に向けてマーケティング・オートメーションツール導入等のDX化の準備が進み、次期中期経営計画に繋がる成長基盤が整備できたと評価しています。
第4次中期経営計画においては、2012年の現経営体制発足時に掲げた中期目標の販売件数1万件の実現と営業利益200億円の達成に向け、取り組んでまいります。また、現在の高い資本効率性の水準を維持すべくROE20%以上を目指してまいります。そして、株主の皆様への還元は、これまでの配当性向40%からより一層充実した還元とすべく配当性向50%以上とし、累進配当を採用してまいります。
その初年度となる2026年3月期は、引き続き営業人員の増加と育成、生産性の向上を図り、販売件数8,240件、売上高1,460億円、営業利益162億円を目指してまいります。
市場の見通しとしては、2年以上続く新築着工件数の減少を背景とした新築住宅の供給の減少と、2025年4月から適用された新築住宅への環境規制対応による新築住宅の価格高騰が続くと考えています。さらに、新築住宅は、これ以上の販売価格の高騰を抑制するために、床面積を縮小していくと考えています。そのため、広い住宅を求める方や安い住宅を求める方に当社グループの住宅を選んでいただけるものと考えています。
当社グループは、長期ビジョンとして掲げる「日本で一番、ひとびとの暮らしを豊かにする会社」の実現に向けて、同じ想いを持つ社員を増やし、育成しながらお客様のニーズにあった住宅を手の届く価格で販売してまいります。
2024年5月にタグラインを「家に価値タス」から「くらしに価値タス」に変更いたしました。当社グループは、事業を通じて、「家」だけではなくお客様の「くらし」に価値を足し、ひとつでも多くの幸せな暮らしを支援していくことを目指しています。当社グループの住宅を購入いただくお客様は、ご夫婦とお子様のいわゆるファミリー世帯のほか、ご夫婦、シングルマザー・ファザー、そして単身の方等の、さまざまな世帯においてご購入いただいています。住まい方が多様化する中でも、変わらず当社グループはお客様の住まい方の変化に対応して、安心・清潔・実用的な住宅を提供してまいります。
私たちの事業活動に共感いただける皆様が株式を長期で保有され、「この街に、ひとつでも多くの喜びを。」の実現を支えてくださることを願っています。
株式会社カチタス 代表取締役社長 新井健資